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更新日:2024年12月17日

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めぐろ区報令和6年12月15日号編集後記「公園の片隅から世界へ パラアスリート吉越奏詞選手」

大特集「公園の片隅から世界へ パラアスリート吉越奏詞選手」

今号は、目黒区出身のパラアスリート、吉越奏詞選手の特集でした。撮影の裏側や、紙面に載せきれなかったお話などをここでお伝えさせていただきたいと思います。

吉越選手の写真撮影とインタビューの現場になったのは、碑文谷公園の子ども動物広場(3面で紹介)です。ポニーに乗馬できるのは中学生までですが、今回は特別に許可を頂き、吉越選手に乗馬していただきました。実はこの日は朝から雨が降っていて、予定どおり撮影ができるかハラハラしていましたが、昼過ぎには雨が上がり、雲間から日が差すほどに。馬場の状態はあまり良くなかったものの、こども動物広場の立岩さん(3面で紹介)と相談の上、撮影を決行。ポニーに乗る吉越選手のすてきな写真を無事に撮影できて、本当に安心しました(私の日頃の行いが良かったからかもしれません(笑))。

今回、吉越選手が乗馬したポニー(2面左側の写真)は、碑文谷公園最年長のカールくんです。2000年生まれの24歳で、なんと私より年上ということでびっくり!聞いてみると、体が小さい(体高147センチメートル以下)馬のことをひっくるめてポニーと呼ぶそうでして、ポニーという品種の馬がいるわけではなく、年齢も特に関係がないとのこと。子どもの馬を総称してポニーと呼ぶのだと思っていた私には、驚きの事実でした。

吉越選手と立岩さん

カールのプロフィール

 

インタビューでは、吉越選手からいろいろなお話をお聞きしました。
仕事と練習を両立させ、大会に出るために毎月のように海外に遠征している多忙な吉越選手。そんなハードなスケジュールをこなしていても、嫌になったことは一度もないそうです。何かしら活動していた方が、さまざまな人と関わり合いが持てるので楽しい、と吉越選手は語ります。休日はあまり家から出ないインドアな私も、見習いたいものです・・・
お話の中で特に印象的だったのは、吉越選手の馬への愛情の深さです。練習の前日は、馬に会いたくて仕方がなくなり、馬のことをずっと考えているとのこと。また大会の時には、翻訳アプリを使って、海外の競技仲間とわいわい愛馬の自慢話をしているのだと教えてくれました。競技仲間との交流の場は、馬が大好きな人が集まった特別な空間なのだそう。「ライバルというより馬好き仲間」だと笑っていました。そんな吉越選手の馬への愛がよく表れている写真が、こちらの2枚。

インタビュー背景

両手に馬

 

もうお気づきかもしれませんが、左上の写真は、3面のインタビュー記事の背景になっています。そして右上の写真は、第8回全日本パラ馬術大会で、吉越選手が優勝した時に撮影されたものです。名付けて「両手に馬」です(笑)。どちらの写真も、馬と一緒に写っている吉越選手は、本当にいい笑顔をしていますね。「馬が大好き」という気持ちが伝わってきて、思わずほっこりです。

また、取材現場に一緒にいらした吉越選手のお母さまからもお話を伺うことができました。
吉越選手が生まれた時は、今よりもずっと障害が重く、周囲の人と同じ生活ができるか分からない、とお医者さんから伝えられ、責任を感じてしまったお母さまは、必死に病院や療育施設を探したそうです。しかしどこに連れて行っても、まだ幼い吉越選手は嫌がって泣いてしまい、リハビリも上手くいかず、どうしようかと悩んでいた時に、すくすくのびのび園のポニー療育(3面で紹介)のことを知ったそうです。吉越選手がポニーに乗るようになってから、自分に自信がついただけでなく、股関節が柔らかくなったり肩の可動域が広がったりと、心身ともに目に見える効果が出てきて、今に至っているとのこと。吉越選手にとって、馬との出会いは本当に運命的なものだったのだなと改めて感じました。

次のパラリンピックは2028年、ロサンゼルスで開催されます。3度目の出場を目指す吉越選手を、区民の皆さまとともに、これからも応援していきます!

広報課:たま子

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