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めぐろ区報令和7年7月15日号編集後記「目黒流落語入門」
特集「目黒流落語入門」
やっぱり、落語は目黒に限る。
「やっぱり、さんまは目黒に限る」――古典落語「目黒のさんま」のオチとして知られるこの一節は、多くのかたにとって耳なじみのある言葉ではないでしょうか。原話は不明あるいは諸説ありとのことですが、第三代将軍・徳川家光が目黒不動に参詣の途中、現在の田道小学校の横にある茶屋坂の上にあった茶屋に立ち寄った際のエピソードという説を、私は信じていたいなと思っています。
さて、今回の特集は、この有名な噺(はなし)をきっかけに、「落語の聖地 目黒」の魅力をお伝えする紙面を目指しました。
落語はハードルが高い?
「落語は難しそう」「寄席の作法が分からない」。これは、特集を担当する私自身が抱いていた率直な思いでした…。興味はあるものの、どこか格式ばった世界のように感じられ、なかなか足を踏み入れる勇気が持てずにいました。
同じように、落語に触れた経験のないかたにとっては、「何から始めればよいのか分からない」「寄席に行くのは少し気後れする」と感じるのも自然なことかもしれません。そんな時、ある職員が「最近、落語を題材にした漫画に夢中なんです」と話してくれたことが、今回の特集の方向性を決定づけるきっかけとなりました。
「寄席に足を運ぶことだけが、落語の楽しみ方ではない。もっと身近な入り口があるのでは?」そんな思いから、落語との距離を縮める“目黒流”の楽しみ方を、3つのステップに分けてご紹介することにしました。
紙面でもご紹介していますが、まずはご自身の関心に沿った本などから落語文化に触れてみるのがお勧めです。
八雲中央図書館で落語ミニ展示開催
8月3日(日曜日)まで、落語に関する本のミニ展示を開催しています。
この機会にぜひ、お気に入りの本を見つけてみてください!
目黒に息づく落語文化。その担い手たちの存在
今回の表紙撮影では、落語会を定期的に開催されている「ナカメオンザビーチ」さんにご協力いただき、特別に高座をご用意いただきました。
同店を運営されている桑田さんは、昨年12月、1978年から続く「中目黒落語会」の運営を引き継ぎました。現在は、中目黒GTプラザホールで寄席を開催したり、お店で落語会を催したりするなど、地域における落語の振興に大変尽力されています。地域に根ざした文化活動を継承し、さらに広げていこうとするその姿勢からは、落語への深い愛情と、目黒のまちへの強い思いが伝わってきます。
この日は、新作落語コンテスト第4回最優秀賞を受賞された俺亭きらりさんへの取材も実施しました。とても明るく朗らかなかたで、落語への情熱を惜しみなく語ってくださいました。
きらりさんが初めてつくった新作落語は、第1回新作落語コンテストで披露した「目黒のサンバ」。この時は、審査員特別賞を受賞し、社会人落語を続けていく転機となったと教えてくださいました。
そして…何よりぜいたくだったのは、取材中に披露してくださった生の落語。目の前で繰り広げられる語りの妙に、初めて生で落語を鑑賞した私を含め、スタッフ一同、引き込まれるひとときとなりました。
紙面の表紙を飾った写真です!
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「落語は噺家によって全く異なる世界に生まれ変わる。だからこそ、生で、プロの噺家の落語をたくさん観てほしい」と語られた言葉が印象的でした(私ももっともっと生で鑑賞しよう!と思いました)。ちなみに、きらりさんは、落語を題材にした漫画「あかね噺」(集英社)を愛読されているそうです。
きらりさんから、教えていただいた落語に縁がある区内スポット“祐天寺”
祐天上人の伝説で最も有名な物語より建立に至った、
祐天寺境内に今も残る記念碑「累塚(かさねづか)」。
実は、怪談噺「真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)」に縁があるそう。
詳しくは、めぐろ観光まちづくり協会ウェブサイトで。
桑田さん、きらりさんのお話を通して、落語を愛するさまざまな皆さんのご協力があるからこそ、目黒の落語文化が少しずつ根を広げ、今後に継承されていくのだと実感する機会となりました。
落語の世界へ足を踏み入れませんか
今年も「第5回新作落語コンテスト」が開催されます。目黒の風景や人々を題材にした噺が披露されるこのコンテストは、目黒の落語文化の象徴とも言えるイベントです。
目黒にまつわる、新たな新作落語を、ぜひ生でご鑑賞ください!
この特集がきっかけとなって「落語って意外と身近かも」と感じていただき、そして「やっぱり落語は、目黒に限る」と誇らしく思ってくださる区民のかたが一人でも増えていくことを願っています。
広報課A
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