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めぐろ区報9月1日号編集後記「だから災害時のトイレに備える」
特集
災害時にまず困るのはトイレかも。
地震の後、約4割が3時間以内にトイレに行きたくなった
今回の表紙のキャッチコピーに使ったこの一文。平成28年に発生した熊本地震の後に行われた調査(注釈)で、「地震発生後、最初にトイレに行きたいと感じた時間はどのくらいですか」に対する結果です。さらに、6時間以内では7割、12時間で9割がトイレに行きたくなったと回答。大きな地震の後、揺れが収まって緊張が緩んだ途端に「トイレに…」と体の反応することはよく分わかります。
(注釈)平成28年熊本地震「避難生活におけるトイレに関するアンケート」 調査:大正大学人間学部人間環境学科 岡山朋子 協力:NPO法人日本トイレ研究所
Q:地震発生後、最初にトイレに行きたいと感じた時間はどのくらいですか?
我慢できないのがトイレ。我慢しちゃいけないのもトイレ
上記の調査では、「避難初期生活で最も困ったことは何ですか?」の質問に、約6割がトイレと答え、食べ物や飲み物よりも多かったことも分かっています。
Q:避難生活の初期において、もっとも困ったことはなんですか?
お腹がすいても、喉が渇いても、多少は我慢できますよね(熱中症の疑いがある場合は別)。でも、生理現象である排泄は我慢できないし、我慢することが体調を壊すリスクになります。
今回、インタビューでお話いただいた日本トイレ研究所代表理事の加藤篤さんも、「トイレに行かないように水分を控えるということは、エコノミークラス症候群や誤嚥性肺炎など災害関連死につながってしまうので、とても危険です」と話されていました。
避難所があるから大丈夫と思っていませんか
さらに、同調査によると、熊本地震際の際、避難所に仮設トイレが設置されたのは、当日はわずか7パーセント。その翌日でも22パーセントだったとか。昨年、年始早々に発生した能登半島地震でも、避難所などのトイレが問題になっていました。
だからこそ、誰もが自分事として考えてみる必要があるのではないでしょうか。
首都直下地震で、断水や配管が壊れてしまったら、避難所のトイレは使えないかもしれません。
密集した建物が倒れ、道路が寸断されてしまったら、仮設トイレがすぐに届くと思いますか。
避難所のトイレが使えたとしても、たくさんの住民が集中してしまったら、トイレの数は足りるでしょうか。
だから「災害時のトイレ」に備える」
発災後、自宅が無事だった場合は、住みなれた環境で過ごせる在宅避難が推奨されています。
「地震に備えて耐震もちゃんと整え、家具も固定して、食料も水もある。幸い自宅は無事だった。でも、トイレが使えなければ、そこでの生活は成り立たないんです。トイレが使えないことで自宅にいられなくなってしまうのはすごく残念ですよね」と、日本トイレ研究所の加藤さんがおっしゃっていました。
今回の特集を担当して、私自身、体に入れるもの(食料や飲料)は考えても、体から出すものについて真剣に考えてこなかったと、目から鱗が落ちる思いでした。早速、携帯トイレを探してポチっと注文。無事、我が家の備蓄の中に格納しました。
災害はいつ起こるか分からない。皆さんも災害時のトイレの重要性を認識していただき、「ああ、用意しておけば良かった」とならないように、今!すぐに!トイレの備蓄を始めましょう!
トイレトラックのラッピングデザインに投票してください
今年度、区は車両とトイレが一体化した自走式の仮設トイレ、トイレトラックを導入します。被災時に、心身の疲労が少しでも癒されるよう、トラックの運転席側、助手席側と後面に、区ならではのデザインをラッピングします。ラッピングデザインは、区民の皆さんの投票によって決定しますので、ぜひ投票してください!
この特集にご協力いただいた日本トイレ研究所のウェブサイトで、災害時のトイレ対策などが分かりやすく紹介されています。お子さんも楽しみながら見ることができる漫画やクイズのページもあるので、おすすめです。
ヤナミ
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