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特集
めぐろ外来生物ノート
気づいてほしい
人間が拡げてしまっていること。
いつの間にか日本各地で目撃されるようになった外来生物。人間の活動によって本来いない地域に持ち込まれたいきもので、生態系に影響を及ぼす困りものでもあります。実は、区内にもたくさん生息中。環境月間である6月、生物多様性にも影響がある外来生物について学び、さらに拡げないために何ができるかを考えてみましょう。
知っているようで知らない! 外来生物のきほん外来生物もともとその地域にはいなかったのに、人間の活動によって他の地域から入ってきた生物のこと。国内で本来生息していなかった地域に入ってきた生物も、外来生物に含まれます。 外来種意味は外来生物とほぼ同じ。海外から持ち込まれた生物を「国外由来の外来種」、国内に生息する生物でも本来いなかった地域に入ってきた生物を「国内由来の外来種」と言います。重点対策外来種は、生態系に甚大な被害を及ぼすと予想され、対策の実効性が見込まれている生物です。 特定外来生物外来生物の中でも、生態系や人の生命・身体、農林水産業などに被害を与えるものとして、法律に基づき指定した生物。飼育や栽培、保管、運搬、輸入は原則禁止です。特定外来生物のうち、条件付特定外来生物として指定されたアメリカザリガニとミシシッピアカミミガメは、家庭で飼育することはできますが、放したり、逃したりすることは禁止されています。 私たちにできること 外来種被害予防3原則外来種による被害を予防するために、まず悪影響を及ぼす恐れのある外来種はもともといなかった地域へ「入れない」ことが重要です。すでに飼っている、または栽培している外来種は、適切に管理し、絶対に「捨てない」ようにしてください。もし野外で外来種が繁殖してしまっている時には、少なくともそれ以上「拡げない」ことが大切です。外来種に関わる際はこの原則を心に留め、適切な対応をとりましょう。 環境省アメリカザリガニ・アカミミガメ相談ダイヤル (注釈)区は、ハクビシン・アライグマ以外の外来生物の駆除などに関する問い合わせは受け付けていません 外来生物は、案外身近にいます
僕が環境問題に興味を持ったのも、子どもの頃から好きだったアメリカザリガニが生態系にとっては悪ものだと知ったから。在来種の居場所を奪い、絶滅を引き起こす可能性のあるアメリカザリガニ。現在、条件付特定外来生物として飼育や保管が細かく規制されているのは、私たちが長年にわたって安易に拡げる行為をしてしまっているからです。少しでもその数を減らすために、まずは身の回りの自然に触れ、身近にいる外来生物の存在を知ってほしいです。それが、在来種のいる豊かな環境を守る第一歩だと思います。 環境三四郎東京大学の学生や卒業生を中心に構成されている大学公認のサークル。環境問題の解決を目指し、キャンパス内にある池の生物調査や、区内の小学校などへの出張授業などを行っている。 |
アメリカザリガニ(条件付特定外来生物)
脅威の繁殖力! 川や池の生態系を破壊中

田んぼや用水路、池、沼など、流れの少ない浅瀬に生息するアメリカザリガニ。昭和2年、当時盛んに行われていたウシガエル養殖用のエサとして輸入されたのをきっかけに、日本全国に拡まりました。汚れた水にも耐性があり、劣悪な環境でも繁殖できる力を持っています。水生植物を切って枯らし、希少な水生昆虫をも減らしてしまう厄介ものです。
区の取り組み
駒場野公園の大池では、令和2年11月に「かいぼり」を行いました。かいぼりとは、池の水を抜いて外来生物を取り除き、天日干しをして水質の改善を図る作業です。このかいぼりで、357匹のアメリカザリガニを捕獲しました。
お問い合わせ:みどり土木政策課みどりの係(電話:03-5722-9359、ファクス:03-3792-2112)
ハクビシン(重点対策外来種)
家や建物を汚染する厄介もの

キュートな見た目からペット用に輸入され、逃げたり、捨てられたりして国内で繁殖したハクビシン。感染症を持っていることがあるので、近づかないようにしましょう。家屋の屋根裏へ侵入し、ふん尿による汚損被害を引き起こすこともあります。8センチメートル程度の小さな穴でも侵入できてしまうので、換気口や軒下の隙間には金網などを被せておく対策も。
区の取り組み
区では、個人の住宅でふん尿などの被害を受けているかたを対象に、箱わなを設置してハクビシンとアライグマの捕獲処分などを行っています。令和6年度は10匹のハクビシンと3匹のアライグマを捕獲しました。平成29年度からのハクビシン累計捕獲数は175匹です。
ハクビシン・アライグマ相談・捕獲処分専用ダイヤル
電話:03-5340-7155
お問い合わせ:環境保全課環境計画係(電話:03-5722-9357、ファクス:03-5722-9401)
ミシシッピアカミミガメ(条件付特定外来生物)
飼いきれないから放つが、諸悪の根源

子ガメのうちはミドリガメと呼ばれ、ペットとしても親しまれているミシシッピアカミミガメ。しかし、成長すると飼育が難しくなることもあり、野外に放されるケースが増えています。野生に定着したミシシッピアカミミガメが在来種から餌や日光浴の場所を奪い、繁殖を妨げているのです。雑食性で、魚類や甲殻類だけでなく水草なども食べるため、さまざまな生態系に影響を及ぼしています。
区の取り組み
区の身近な生き物に直接触れ、生物多様性の大切さについて理解を深める「いきもの発見隊」。例年春に目黒川で実施しており、ミシシッピアカミミガメも観察されています。
お問い合わせ:みどり土木政策課みどりの係(電話:03-5722-9359、ファクス:03-3792-2112)
トウネズミモチ(重点対策外来種)
昔は便利な植物。でも今は、増えすぎ注意

明治初期に植栽用として持ち込まれたトウネズミモチ。在来種のネズミモチと似ていますが、大きな違いはその繁殖力にあります。大気汚染や乾燥に強く成長も早いため、戦後、街路や公園などに広く植えられました。在来種と空間や日光、栄養素などを奪い合い、生態系のバランスを崩してしまうため、定期的に伐採するなどして数のコントロールが必要な植物です。
区の取り組み
碑文谷公園の生物多様性保全林事業の一環として、令和3年度にトウネズミモチの分布調査、令和4年度に伐採を行い、在来種であるムラサキシキブなどを植えました。
お問い合わせ:みどり土木政策課みどりの係(電話:03-5722-9359、ファクス:03-3792-2112)
発見情報、求めています!目黒の桜が危ない!クビアカツヤカミキリ![]() サクラやモモなどのバラ科樹木に寄生する外来生物のカミキリムシ。この幼虫が木の内部を食べて弱らせ、枯らしてしまうのです。区内ではまだ発見されていないものの、全国で被害が拡大しており、都内でも被害が確認されています。まさに今、4月から10月の間が幼虫の活動期間。もし区内でクビアカツヤカミキリを見つけたら、みどり土木政策課へご連絡ください。 お問い合わせ:みどり土木政策課みどりの係(電話:03-5722-9359)・施設計画係(電話:03-5722-9745)、ファクス共通:03-3792-2112 |
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