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相談事例と対策
区民の方からの相談内容と、相談事例に対する考え方、解決のための具体的な対策例などを掲載しています。
事例1「エアコン」
隣家のエアコンの室外機の音が大きくて困っています。音を小さくしてほしいのですが、なかなか聞き入れてくれません。
解説
エアコンは、室内を快適にしますが、屋外では騒音の発生源になります。住宅の密集している都会では、エアコンを取り付ける際、専門業者に任せっきりにしないで、近隣住民に迷惑がかからないように、事前に十分検討することが必要です。一度取り付けてしまった後では、対策がむずかしくなります。
対策例
エアコンの室外機から発生する音については、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」の日常生活等騒音規制基準を当てはめます。
対策としては、次のことが考えられます。
- 1.隣家から離れた場所へ移設する。
- 2.低騒音型のものにし、定期的な保守点検をする。
- 3.室外機の向きを変え、音の方向を変える。
- 4.タイマーを有効に活用し、深夜・早朝の使用を控える。
事例2「カラオケ」
隣のスナックで、夜遅くまでカラオケを使用していて、うるさくて眠れず困っています。近隣のことを考えて営業してほしいのですが。
解説
最近は、飲食店・スナックの深夜営業に伴う騒音が問題となっています。これは、お店の多くがカラオケ装置を入れる際に、防音工事をしないからです。防音工事は、建物の新築時に専門業者が行えば効果的ですが、あとからの改装では、あまり効果は期待できません。
東京都では、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」で、夜間の営業騒音について規制しています。カラオケについては、午後11時から翌朝6時まで、原則として使用が禁止されます。ただし、防音対策をとることで外部に音が漏れない場合は、使用できます。深夜は警察官の立ち入りもできます。
なお、お店は外でのお客の見送り、お客は店先での立ち話をしないことも大切です。
対策例
カラオケ騒音は、本格的な防音工事をとるのが一番です。
対策としては次のことが考えられます。
- 1.店の出入り口を二重扉にし、直接音がでないようにする。
- 2.窓・扉・換気扇などの開口部に防音対策をとる。
- 3.店が共同住宅の場合、間仕切り壁を遮音構造にする。
- 4.音量に気をつけ、午後11時以降はカラオケの使用を控える。
事例3「ピアノ」
隣家ではピアノを夜遅くまで弾いて、うるさくて困っています。防音対策をとってほしいのですが、なかなか聞き入れてくれません。
解説
騒音の中でも、ピアノ・ギターのように楽器の音は規制がむずかしいものです。測定器を使って音の大きさを測ることはできますが、弾き方で音量はすぐに変化し、一定時間のうち何分基準を超えたら規制の対象になるのかなど、実際の線引きは困難です。
対策例
ピアノを設置するときには、家の構造・周囲の状況を考えて、防音対策をとる必要があります。対策についても、専門業者と十分に相談する必要があります。
音は、まわりが静かになる夜の方が大きく聞こえます。夜は一日の疲れをいやす時間なので、夜間の演奏は避け、昼間の時間を決めて演奏するのがよいでしょう。
対策としては、次のことが考えられます。
- 1.ピアノを弾く前に、近隣に声をかけたり、時間の了解をとる。
- 2.毎日長時間弾く場合は、本格的な防音工事をする。
- 3.ピアノの裏側に遮音材をあてたり、弱音ペダルを使用する。
- 4.窓を二重アルミサッシにし、演奏時は窓・扉を閉める。
事例4「集合住宅での生活」
マンションの隣・上の部屋から、早朝・深夜の給排水、テレビの音、足音が気になります。相手になかなか言い出せないんですが。
解説
アパート・マンションなどの同一建物内で、音がどのように階下や隣の部屋に影響するのかは、建物の構造によって異なります。日常生活の騒音の規制基準は、隣地境界を測定点として定められているので、同一建物内ではそのまま適用されません。しかし、受忍限度を超えた早朝・深夜の音は避けなければなりません。
対策例
日常生活をしていくうえで、音は必然的に発生します。しかし、ちょっとした心配りで減らすことはできます。また、管理組合などを通した居住者同士の話し合いで、日常生活のルール作りも必要とされます。ただ、細かな制限はかえって暮らしにくさを招くので、集団生活をしていくうえでは、ある程度の音に慣れることも大切です。
対策としては、次のことが考えられます。
- 1.早朝・深夜の風呂などの使用を控え、給排水量を減らす。
- 2.早朝・深夜の音響機器は、音量を下げて使用する。
- 3.床にカーペット・マットなどの緩衝材を敷く。
- 4.居住者間の関係を密にし、気軽に話し合える環境をつくる。
事例5「建設工事」
近所で建設工事が始まり、大型機械の騒音・振動がひどくて、困っています。何か対策はないのでしょうか。
解説
近年、工法・機械の改善により、騒音・振動は減ってきたとはいえ、建設工事は多くの公害を発生させます。建設工事は屋外での作業のため、公害防止には技術的な限界があります。また、公害防止の方法によっては、いたずらに工期を引き延ばす結果になります。
苦情を申し立てるときには、まず説明を求め、工期・作業時間などの工事内容についてよく知ることが大切です。
対策例
建設工事の中でも、騒音・振動の激しい作業は、法律によって規制されています。また、それに該当しない作業や、規制基準内の作業の対策として、次のことが考えられます。
- 1.工事内容の説明を事前に行い、近隣の理解を得る。
- 2.シート養生、機械の位置の配慮などの防音・防振対策をとる。
- 3.工事中の苦情受付体制をつくり、工事責任者は現場に常駐する。
- 4.特に影響の大きい世帯(高齢者・乳児・夜間勤務者)を把握する。
事例6「換気扇」
隣の飲食店の換気扇から発生する調理をするときの臭いがひどくて、困っています。何か対策はないものでしょうか。
解説
エアコンと同じように、換気扇も一度取り付けた後で被害が起こった場合は、対策がたいへんむずかしくなります。そこで、取り付けの際は、十分な注意が必要です。このような悪臭の被害は、近隣への配慮が特に必要です。
対策例
悪臭を完全に除く方法は、今のところないのが現状です。換気扇の設置状況などを考慮し、なるべく有効な方法を探し出すことになります。また、臭いのことで問題になるのは、換気扇の前に窓がある場合が多くなっています。
都市部では、隣家と密集して窓がある場合が多いので、効果的な対策がとれない場合は、自ら窓を閉めることも必要になるでしょう。
対策としては、次のことが考えられます。
- 1.影響が最も少ないと考えられる方向へ、換気口を変える。
- 2.ダクト(排気誘導管)を用い、排気を建物の屋上や道路側に導く。
- 3.正常に作動するように、常に保守点検を行う。
- 4.設置者は、臭いに対する認識を新たに持つ。
事例7「屋外での焼却」
隣家でごみや落ち葉を大量に燃やしていて、すすで洗濯物が干せなくて困っています。近隣のことを考えてほしいのですが。
解説
東京都の「都民の」において、小規模の廃棄物焼却炉による焼却や野外焼却は、ダイオキシン類やばいじん等の発生抑制が難しいことなどから、周辺環境等への支障を防ぐために禁止されました。
小規模の廃棄物焼却炉とは・・・火床面積が0.5平方メートル未満で、焼却能力が1時間あたり50キログラム未満の廃棄物焼却炉、一般家庭で用いられる焼却炉など
野外焼却とは・・・焼却炉を用いない焼却で、庭、空地での廃棄物焼却、ドラム缶、一斗缶などによる焼却
焼却禁止の例外
火祭りや、どんど焼きなど伝統的行事および風俗慣習上の行事のための焼却行為や、落ち葉等の一過性の軽微なたき火等
注記:野外焼却は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律でも禁止しています。
対策例
対策としては、次のことが考えられます。
- 1.ごみや落ち葉はごみ収集に出すようにする。
- 2.堆肥や腐葉土として使用する。
事例8「電波障害」
最近、テレビの映りが悪くなりました。近くに大きなビルが建ってからのようですが、何か対策はないものでしょうか。
解説
東京のテレビ電波は東京スカイツリーから送られてきます。その方向に高い建物が建つと、電波がさえぎられテレビの映りが悪くなります。(しゃへい障害)また、方向が違っても壁に電波が跳ね返って、画像が二重になることがあります。(反射障害)
対策例
中高層ビルを建てようとする建築主は、電波障害について考慮しなければなりません。ビルの高さからどの範囲まで障害が出るかを予想し、関係住民と対策についての話し合い・協定書の締結等が必要です。その際の障害対策は、一般には建築主の責任と負担で行います。
近くにビルの建築計画があり、電波障害が予想される近隣の方は、事前に建築主とよく話し合いましょう。
対策としては、次のことが考えられます。
- 1.共同アンテナを設置する。
- 2.都市型ケーブルテレビを活用する。(加入費・聴視料などが必要)
- 3.NHK(電話:03-3465-1111)に相談する。
お問い合わせ
電話:03-5722-9386
ファクス:03-5722-9401