ここから本文です。


特集
目黒の不登校児童・生徒の支援 いつでも、キミにはミカタがいる。
今号では、学校に行きづらさを感じている子どもとその保護者を支える区内の取り組みを紹介します。行政や学校、民間団体、地域コミュニティーなど、さまざまな立場で活動する支援者7人と元当事者1人が集い、それぞれの想いについて語り合いました。
お問い合わせ:めぐろ学校サポートセンター(電話:03-3715-1531、ファクス:03-3715-2846)
座談会メンバーの紹介

作品タイトル「解放」
タイトルはアーティスト・フォトグラファーの湯浅光さんの作品です。 |
学校内外で行っているさまざまな支援
|
前田 |
それぞれどのような立場から子どもや保護者のかたを支援されているのか、まずは自己紹介も含めてお話しできればと思います。私はこども家庭センターの心理職として、関係機関と連携した相談支援や親子関係改善のための調整などを行っています。 |
|
佐野 |
前田さんと同じ心理職の私は、緑が丘に フリースクール「sunow(スノー)」をオープンし、代表として運営を行っています。通ってくる子どもたちと一緒に時間を過ごすのはもちろん、保護者のご相談にも応じながら、一人一人に寄り添うことを心掛けています。 |
|
大川 |
学校以外の居場所という点では、私たち 「ナナメのナカメ」の活動も共通です。週1回、中目黒のライブハウスで、大学生スタッフが子どもたちと一緒に勉強やお話しができる居場所を提供しています。 |
|
小園 |
私が代表を務める「にじっ子サポーターズ」は月1回の親の会「にじカフェ」や週1回の子どもと大人の居場所「にじのえんがわ」などを開催しています。 |
|
猪田 |
私は、スクールソーシャルワーカーです。福祉の視点から、子どもたちが笑顔で暮らせるよう安心・安全な生活をサポートしています。 |
|
永久保 |
学校や地域の連携も重要ですね。私は、学校に行きづらさを感じる小・中学生が安心できる居場所として設けられた学習支援教室「めぐろエミール」主任をしています。元教師という経歴を生かして子どもたちが楽しく学べるような学習支援にも取り組んでいます。 |
|
松林 |
私は第一中学校の校内別室指導支援として、校内の居場所づくりに携わっています。勉強を教えるというより、雑談やゲームを交えながら子どもが安心して過ごせる時間を見守っています。 |
|
湯浅 |
皆さん本当にさまざまな活動をされているのですね。私は平成29年に区立中学校を卒業した、不登校の元当事者です。約10年前の体験や葛藤についてお話しできればと思います。 |
居場所は大人が用意して終わりじゃない。子ども自身が安心できる場へと育てていく
|
前田 |
こども家庭センターでは、家から出られず不登校が長期化している子どもたちと関わっています。ご自宅への訪問やセンターへの来所などを通して、まずは人と関わることの安心感を持ってもらいます。その後、少しずつ外の世界に目を向けられるよう、時間をかけて丁寧に寄り添うことを大切にしています。 |
|
佐野 |
安心感は一番の土台ですよね。私たちフリースクールの役割は、単に施設や環境などを用意して「はい、終わり」ではありません。「居場所」とは、子ども自身が「ここなら安心できる」と実感できて初めて成り立つものです。慣れない環境の中で、子ども自身がその空間を自分の居場所にしようと一生懸命に努力しています。「安心できる場所は自分でつくれる」という確信を持てた時、子どもはおのずと前を向き始めると考えています。 |
|
松林 |
「子ども自身が居場所にしていく」という姿は、校内別室でも見られます。新しく来室した不安を抱えている子に対して、校内別室で少しずつ心にエネルギーが溜まってきた子がそっと話しかけたり、家まで迎えに行ってくれたりすることがあるんです。子ども同士が関わりを重ね、お互いにとって居心地のよい場所をつくろうとする姿を見ると、人はみんなつながりたい気持ちを持っているんだなと感じます。 |
|
猪田 |
佐野さんや松林さんのお話、すごくよく分かります。まずは、安心できる環境で好きなことや関心のあることをしながら過ごすことが大切だと思います。そして、子どもが思ったタイミングや選んだ場所でステップを一つずつ積み上げていきます。その積み重ねの中で子どもたちが自分らしい歩みを進めるので、その子どもの変化を見逃さず寄り添いたいと思います。 |
|
永久保 |
めぐろエミールでも、子どもに寄り添う「支援」に徹しています。「頑張って」と背中を押すのではなく、話をとことん聞いて、これまでの歩みや今の気持ちを受け止めます。本人が「ここなら安心だ」と感じて、自ら心を開くタイミングを焦らず待つ姿勢を大切にしています。 |
|
湯浅 |
皆さんのお話をお聞きして、好きなことで自信を取り戻すという点に特に共感します。私自身、家で絵を描くといったものづくりに没頭したことが救いでした。その時の興味・関心は結果的に大学の進路選択、そして今の仕事や、アーティスト・フォトグラファーとしての活動にもつながっています。今考えると自分の「好き」を否定されない場所・時間があったことは、貴重だったなと感じます。 |
|
小園 |
ありのままを出せる場所って本当に大切ですよね。私たちの活動でも、何度も足を運んで過ごすうちに、子どもたちが少しずつ心を開いてくれるのを感じます。そうやって自分が安心して過ごせる「居場所」が一つできると、そこを起点に「次はあっちにも行ってみようかな」と少しずつ世界を広げられる。子どもだけでなく、保護者同士も「こんな場所があるよ」と声をかけ合い、誰かを気にかける温かいネットワークが広がってきています。活動を続けてきて実感するのは、場所をつくるだけでなく「地域全体を育てる」ということの大切さです。誰も孤立させない温かいコミュニティーが地域にあること自体、大きな安心につながると実感しています。 |
読者の皆さんにお伝えしたいこと
|
大川 |
今日集まった私たちも役割や考え方が違いますよね。相談する相手としても合う・合わないが生じる場合があるので、いろいろな場所で人と出会うのがいいと思います。学校に行きづらい理由も人それぞれで、「なんとなく」という子もいます。全てを一人で抱えなくても大丈夫です。家庭だけで抱え込まず、いろいろな人と関わりながら少しずつ気持ちをほぐしていけたらいいですよね。 |
|
前田 |
おっしゃる通りですね。自分が「少し話してみようかな」と思える人に話してみることが、安心につながることがあります。 |
|
小園 |
親子で不安を抱えたり、孤独を感じたりした時には、安心して話せる場所や、温かくつながれる地域コミュニティーが身近にあります。気が向いた時に思い出してもらえたら。 |
|
永久保 |
めぐろエミールも、子どもたちや保護者の声に耳を傾け、安心して相談できる環境づくりに努めています。 |
|
松林 |
今どんな状態であっても「大丈夫だよ」と伝えたいです。今すぐこれからの道を決める必要はありません。悩んでいるかたはどうかご自身や子どもたちを責めないでほしいなと思います。 |
|
佐野 |
学校以外の場所でエネルギーを溜める時間は決して無駄ではありません。自分に合った居場所を焦らず活用してもらいたいです。 |
|
猪田 |
私たちは皆さんにとっていつでも安心できる存在でありたいと思っています。これからの過ごし方を一緒に考えていくお手伝いができればと思います。 |
|
湯浅 |
皆さんが温かい思いを持って支援に向き合っていることを知り、元当事者としてうれしかったです。頼ったり話したりできる場所はたくさんあるのだと感じました。ただ、無理に全てを話す必要はないんだよ、ということを悩んでいるかたにはお伝えしたいです。私自身、最初は不登校の理由を親に自分の言葉で話すことが難しく、ノートに書いて伝えていました。だから「全て話さなきゃ」と身構えず、「この人になら」と思える相手に出会えた時に、少しずつ気持ちを打ち明けてもらえたらいいなと思います。 |
子どもにも保護者にも安心できる居場所を
さまざまな立場で子どもや保護者に寄り添う「ミカタ」がいます。地域には、子どもや保護者を支える人や、安心して過ごせる居場所があります。
私たちは、必要になった時に思い出してもらえる、身近な支えでありたいと考えています。
紙面で伝えきれなかった想いは「めぐろプラス」で
寄り添い合う場所・仲間・取り組み
子どもや保護者を支える相談先や、安心して過ごせる居場所があります。活動内容や利用方法はそれぞれ異なります。詳細は各窓口・団体にお問い合わせください。
区・学校の取り組み
リニューアル!めぐろ学校サポートセンター

めぐろエミールの運営や教育関連の相談、スクールソーシャルワーカーの派遣事業を通じ、子どもたちの教育を包括的に支える教育施設です。令和8年4月に中目黒スクエアへ移転しました。
スクールソーシャルワーカー
児童・生徒が学校生活や家庭生活で抱えている困り事について、子どもや保護者の話を聞き、学校、家庭、地域、関係機関との調整や支援を行う福祉の専門職です。
校内別室指導支援員
校内の別室で、教室に入りづらい児童・生徒を見守る支援員です。安心して過ごせる環境を整え、子どもの希望や状況に寄り添いながら、学校での過ごし方を一緒に考えます。
地域・民間の居場所と仲間
フリースクール sunow

緑が丘の少人数制フリースクールです。心理士が専門的な視点から、一人一人の個性や状況に応じて、日々の過ごし方や学習、進路などを支援します。住まいのような安心感ある空間も特長です。
にじっ子サポーターズ

不登校や学びづらさ、生きづらさなどを抱える子どもやその家族、サポーターなどがつながるグループです。子どもの居場所や保護者同士がつながり合える場をつくっています。
ナナメのナカメ
中目黒で週1回開催される、子どもたちの居場所づくりの活動です。大学生スタッフや地域のかたと一緒にボードゲームや会話を楽しみ、安心できる時間を過ごせます。
お問い合わせ
電話:03-5722-9621
ファクス:03-5722-8674
こちらの記事も読まれています








