更新日:2025年6月16日

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元気なお店、活気ある事業所をご紹介します「ANEOS(アネオス)株式会社」

企業情報

所在地

東京都目黒区中央町一丁目5番12号

代表取締役社長

野澤 裕

問い合わせ

電話:03-5768-8251

創業

2019年

(創業:株式会社小笠原計器製作所 1886年、株式会社日本エレクトリック・インスルメント 1965年)

ANEOS株式会社の外観の写真

外観

 

気象観測の世界では伝統的な技術の継承や互換性が最重要!

東急東横線・学芸大学駅から徒歩12分ほどの目黒通り沿いにあるANEOS(アネオス)株式会社は、雨や風、河川やダムなどの水位を測る気象観測機器の総合メーカー。自然と人との共存を考え、高品質な気象観測システムで自然を測り、環境と私たちの暮らしを守っています。

1886年創業で、気象観測機器の豊富な実績と技術力を持つ小笠原計器製作所と、1965年創業で、常に先進技術を取り入れて気象観測のソリューションを提案してきた日本エレクトリック・インスルメントの2社が2019年に合併し、新生「ANEOS株式会社」が誕生しました。ANEOSの社名にはAdvance(先進)の「A」、日本エレクトリック・インスルメントの「NE」、小笠原計器製作所の「O」、Synergy(相乗効果)の「S」の意味が込められています。

ANEOS株式会社 代表取締役社長 野澤裕さんの写真

野澤 裕氏

「地元である目黒区では、目黒川の河川監視のソリューションなども担当させていただいています。国内を中心に気象観測の分野で雨や風を測る機器の開発・製造から、お客様のニーズに合わせた各種気象観測システムの構築、そして設置作業、さらにその後の保守サービスまで行っております。最近では防災気象システムのクラウド化も展開するなど、より使いやすく付加価値を付けた気象観測に関するトータルソリューションを提供しています。クライアントは、気象庁をはじめとした主に官公庁などが中心となりますが、単に気象観測機器を販売するだけでなく、システムインテグレーターとしての立ち位置で仕事をしていかないと採用していただけないという背景もありますね」と話すのはANEOS株式会社 代表取締役社長の野澤裕さん。

その一方で専門性、継続性の高い分野がゆえに、未だに過去の技術の継承も必要だと言います。

気象観測は長期間にわたる統計処理が基本であり、観測の手法や測定範囲、精度などを安易に変えられないため、連続性のある機器を提供する必要があり、過去の技術の継承も大切な要素だというわけです。

「また、気象観測システムは一度設置したら、基本的に10年、15年、30年と長く使い続けていただくので、その間に修理や部分更新等をする場合にしても、常にシステム全体の中で互換性を保つことが前提となります。長期間、観測精度を維持するわけですから、ベテラン社員の経験や知恵が活きる業界でもありますね。気象観測というニッチな業界で勝負していくには、長い年月にわたりモノづくりを続けていく信念と、過去からの技術を継承する意志を示していく必要があります。ただ、それだけでは時代に取り残されてしまうので、コアな技術だけではなく、新しいモノを採り入れてどんどんいろんなことにチャレンジしていくのも宿命です。当社は少し背伸びをしながらも、うまくやってこられたというところもありますね」

そんな同社の真摯な姿勢が気象庁をはじめ、官公庁にも高く評価されていると胸を張ります。

「自然を測る仕事だからこそ、計測機器を設置した現場では長い年月の間でノートラブルというのはなかなかありません。相手が自然なので、原因が分からず不具合が発生する場合もあります。その際には現場に迅速に駆けつけて対処するわけですが、そういった点でも何よりも信頼が大切。気象庁をはじめとして、官公庁にシステムを納めているという実績は大きいですね」

雨量計の写真(左右のますに水が溜まると転倒して雨量を計測する)
雨量計(左右のますに水が溜まると転倒して雨量を計測)

気象庁から認定を受けている工場内の雨量計試験設備の写真
気象庁から認定を受けている工場内の雨量計試験設備

気象庁から認定を受けている工場内の雨量計試験設備

 

人々の暮らしを守ることに大きなやり甲斐

現在、同社の課題になっているのは人材だと言います。

「当社のモノづくりは、様々なお取引先の協力で成り立っております。鋳物は鋳物屋さんに、塗装は塗装屋さんにといったように、各分野の専門家である協力会社のみなさんと共に、当社では主に設計、組立、調整を中心に行っております。協力会社の中では過去の技術の継承者がいないなどの理由で、事業から撤退せざるを得ないという状況の会社も少なくなく、そこを何とか工夫しながらしのいでいるような状況でしょうか。若いエンジニアは、最新技術に触れられる大手やIT系などに進みがちな傾向もあり、当社も人手不足に関しては悩みでもあります。気象観測で大切な技術は、時代の最先端の少し手前ぐらいがちょうど良いと言われています。先へ行きすぎると、既存の観測機器との互換性が担保できなくなってしまいますから。その分、昔ながらの電気や機械の技術、アナログ技術からデジタル技術、さらにはソフトウェアや通信に至るまで守備範囲の広い気象観測のシステムの製作に携わることで、様々な技術を広く浅く学べる点や、自身の技術の幅が拡がっていく事も訴求していきたいと考えています」

そんな野澤さんが気象観測の道を選んだ背景には両親の姿があったと言います。

「実は、私の父が日本エレクトリック・インスルメントの創業者でして。最初は夫婦二人が自由が丘の自宅の一室で風向風速計を作るところからスタートしたのです。当時はこの辺りもまだ町工場がたくさんあって、両親に連れて行かれたことをよく覚えています。今日の当社に発展するまでの親の姿を見て、そのサクセスストーリーのようなものが私の脳裏にあったのは間違いないですね。日本エレクトリック・インスルメントは小笠原計器製作所と2000年に業務提携を行いました。当時の父は還暦を過ぎており、この事業を引き受けるにしても後を継ぐ人が必要でしたから、父からさりげなく誘いを受けたのがこの業界に身を置くきっかけでしょうか」

ところで、観測機器のメーカー2社が合併したメリットはどんなところにあるのでしょうか?

「資本参加した2002年から父が小笠原計器製作所の代表も務めていましたが、別々の歴史を持つ二つの会社をコントロールするには手間も掛かりますし、いい面も悪い面も多々あったので、時間は掛かりましたが両社が一体化できたことは大きなメリットと言えますね。それぞれの文化を尊重し生かしつつ、二重作業の削減や人手不足の解消にも繋がっています。今後も風、雨、水に関連するソリューションを中心に、クライアントへ提供し続けていくと同時に、気象予報や気象解析の分野にも取り組んでいければと思っております。そのためには今以上に技術力の幅を拡げていく事が課題となりますので、既存の風向風速計や雨量計、水位計といったセンサー技術に磨きを掛けつつも、新しい技術の吸収にも積極的に取り組んでまいります」

気象観測機器のスペシャリストを養成しつつ、過去の歴史や技術を踏襲しつつも、新しいものも採り入れながら気象観測に必要な技術を後世に残す。

「時代性も考えると舵取り的な部分も含めて難しいことも少なくないですが、やはり事業を継続するモチベーションの背景にあるのは、社会貢献に通じているということでしょうね。日頃から防災に対して関与できますし、地域の身近なところで言えば、目黒区で河川監視の仕事をしていますが、区民の皆さんのお役に立っていると思いますし、やり甲斐の大きな仕事だと考えています」

若手スタッフインタビュー

今回は、ANEOS株式会社の若手スタッフにもインタビューに協力いただきましたので、ご紹介します。

ANEOS株式会社 製造部 製造システムグループ 八木龍也さん

「ニッチな分野で面白そうだなと思い、入社して12年目になります。製造システムグループに所属しており、このグループはいわゆるモノづくりではなく、当社の技術者が作った風や雨量に関する計測機器をパソコンなどと組み合わせ、気象観測システムとして正確に動作するかを検査するのが主な仕事です。現場での機器の設置や、設置後の機器の各種調整などを任されることもあるので出張も多く、全国いろんな地域に行けるのも面白さの一つです。高速道路などを車で走っていて、当社の機器が設置されているのを見ると嬉しくなってしまいます。現在は業務の傍ら、後輩スタッフの指導も行っていますが、全国には本当にいろいろな環境があり、様々な悩みをお持ちのクライアントがいて、機器の設置環境に関してもイレギュラーなケースが少なくありません。そういったこれまでの現場経験を活かして、後輩スタッフに伝えていきたいと考えています。ANEOSの強みは販売から設計、製造、施工、保守までワンストップでできること。公共機関の運用に関わるシステムでもあり、人々の暮らしを守るというところに、この仕事のやり甲斐と面白さがあると思いますね」

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八木 龍也氏

気象観測システムの動作点検作業の写真
気象観測システムの動作点検作業の写真
気象観測システムの動作点検作業の写真

気象観測システムの動作点検作業

 

お問い合わせ

産業経済・消費生活課 中小企業振興係

ファクス:03-3711-1132